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新菱冷熱工業

新菱冷熱工業は、空調設備をはじめ、給排水衛生設備や地域冷暖房設備、プラント設備などを手掛ける環境エンジニアリング企業です。

加湿関連では、一般的な単体加湿器だけを製品として展開するメーカーとは異なり、空気中の汚染物質除去と加湿を同時に行う「エアワッシャー」など、建物や工場の空調システムに組み込む技術を提供しています。

ここでは、新菱冷熱工業が公式サイトで公開している情報をもとに、省エネルギー型エアワッシャーや電解水エアワッシャーシステム「AIR-ROCA®E」、関連する気化式加湿技術について紹介します。

新菱冷熱工業の「省エネルギー型エアワッシャー」を解説

新菱冷熱工業が提供する「エアワッシャー(省エネルギー型)」は、空気中の汚染物質を水で除去すると同時に加湿を行う装置です。一定の温湿度管理やケミカル成分の除去が求められる半導体・液晶工場などで、外調機に組み込んで使用されています。

従来のスプレー式エアワッシャーで課題となりやすい設備の大型化、水のキャリーオーバー、ポンプ動力、加湿時の予熱などに対し、新菱冷熱工業では独自の加湿材を使用した滴下式エアワッシャーを開発しています。

項目 性能・仕様
方式 滴下式エアワッシャー
加湿方式 気化式
圧力損失 60Pa※1
飽和効率 95%※1
NH4+除去性能 90%以上※2
SO4²-除去性能 90%以上※2
主な用途 半導体工場、液晶工場など

※1 通過風速2.5m/s時の値
※2 新菱冷熱工業イノベーションハブ(茨城県つくば市の外気導入)における実測値

独自のプリーツ型加湿材で低圧損と高い飽和効率を両立

省エネルギー型エアワッシャーには、新菱冷熱工業が独自に開発したプリーツ型加湿材が採用されています。公式サイトでは、通過風速2.5m/s時で圧力損失60Pa、飽和効率95%という性能が示されています。

低い圧力損失を維持しながら高い加湿性能を確保している点が特徴です。空調システムでは圧力損失が大きくなるほど送風に必要なエネルギーも増えるため、省エネルギー性を検討するうえでも注目したい仕様といえます。

水の飛散を抑えた滴下式を採用

従来のスプレー式エアワッシャーでは、水滴が下流側へ飛散するキャリーオーバーによって、設備内でカビなどが発生しやすくなることが課題の一つでした。新菱冷熱工業では、こうした問題に対応するため滴下式を採用しています。

プリーツ型加湿材へ水を供給し、空気との接触によって加湿することで、水の飛散を抑えながら加湿とケミカル成分の除去を行える構造です。水滴飛散への対策が求められる空調設備を検討する際にも確認したい特徴です。

省スペース化しやすいコンパクト設計

独自開発のプリーツ型加湿材は、コルゲート型などの従来構造と比べてコンパクトに設計されています。新菱冷熱工業の公式情報では、加湿材の厚みを従来比で3分の2までコンパクト化しているとされています。

AIR-ROCA®Eに採用されているプリーツ型メディアも厚みは約90mmです。外調機に加湿・ケミカル除去機能を組み込む場合、性能だけでなく設置スペースも重要になるため、設備全体の省スペース化を検討する際のポイントになります。

蒸気加湿の代替として省エネルギー化を図れる

省エネルギー型エアワッシャーは、冷凍機の排熱や生産冷却水などの低温水を利用できます。新菱冷熱工業では、これらを活用することで加湿時の予熱に必要なエネルギーをゼロにできるとしています。

そのため、蒸気を生成して加湿する方式と比較して、省エネルギー・省CO2につなげられる可能性があります。半導体工場などの製造施設だけでなく、美術館・博物館などへの適用も想定されており、蒸気加湿からの切り替えを検討する際の選択肢になります。

参照元:新菱冷熱工業公式サイト
https://www.shinryo.com/tech/room_airwasher.html

新菱冷熱工業のエアワッシャーの主な導入事例

新菱冷熱工業では、省エネルギー型エアワッシャーについて、液晶工場や半導体工場、研究施設などへの導入実績を公開しています。

大風量を処理する製造施設から研究施設まで導入事例が確認できることから、要求される処理風量や施設条件に合わせた活用が行われていることが分かります。

施設 総処理風量
某液晶工場 190,000m3/h
某半導体工場 266,000m3/h
某半導体工場 135,000m3/h
某研究施設 9,000m3/h
某半導体開発施設 135,000m3/h
某液晶工場 95,000m3/h

特に半導体や液晶などの製造工程では、温湿度だけではなく空気中のケミカル成分を管理しなければならないケースがあります。加湿とケミカル汚染対策を一つの設備で行いたい施設では、エアワッシャーを検討する余地があるでしょう。

参照元:新菱冷熱工業公式サイト
https://www.shinryo.com/tech/room_airwasher.html

ケミカル汚染対策に対応する「AIR-ROCA®E」

「AIR-ROCA®E」は、新菱冷熱工業が半導体・液晶工場などの製造環境向けに開発した電解水エアワッシャーシステムです。

省エネルギー型エアワッシャーに電解水を組み合わせることで、酸性ガスに対する除去性能を高めている点が特徴です。外気中の酸性ガス濃度の変動を検知し、必要な電解水量を供給する制御システムも搭載されています。

電解水を利用して酸性ガスを除去

AIR-ROCA®Eでは、省エネルギー型エアワッシャーに電解水を使用することで、硫酸イオン(SO4²-)などの酸性ガスに対する除去性能を高めています。アンモニウムイオン(NH4+)についても除去可能とされています。

さらに、外気中の酸性ガス濃度の変動を自動的に検知し、適切な電解水量を供給する制御を採用しています。半導体・液晶工場など、製品品質を維持するためにケミカル汚染物質の管理が必要な環境を想定したシステムです。

ケミカルフィルタを不要にできるシステム

従来のケミカル汚染対策では、ケミカルフィルタを用いて汚染物質を除去する方法があります。しかし、フィルタの交換や廃棄が必要となるほか、交換時には外調機を停止しなければならない場合があります。

AIR-ROCA®Eは、ケミカルフィルタを使用せずにケミカル汚染物質を除去できるよう設計されています。新菱冷熱工業では、ケミカルフィルタ由来の産業廃棄物をなくせる点も環境面のメリットとして挙げています。

エネルギー消費量・CO2排出量・ランニングコストを削減

AIR-ROCA®Eでは、ケミカルフィルタに加えて、湿度を下げるための再熱機構も不要とされています。また、新菱冷熱工業が開発した制御機構によって、システムの運転を最適化しています。

その結果、同社従来型との比較で、外調機全体のエネルギー消費量を約24%、CO2排出量を15%、ランニングコストを30%削減できるとしています。ケミカル汚染対策と省エネルギー化を同時に検討したい場合に注目したい技術です。

項目 新菱冷熱工業従来型との比較
エネルギー消費量 約24%削減
CO2排出量 15%削減
ランニングコスト 30%削減
ケミカルフィルタ由来の産業廃棄物 ゼロ
参照元:新菱冷熱工業公式サイト
https://www.shinryo.com/tech/airwasher.html

新菱冷熱工業が開発するその他の加湿・湿度制御技術

新菱冷熱工業では、エアワッシャー以外にも、気化式加湿器の省エネルギー化・省給水化や高精度な湿度制御に関する研究・開発を行っています。

ここでは、現在公式サイトで確認できる研究報告・特許技術の中から、加湿に関連する技術を紹介します。なお、以下はエアワッシャーのような製品・サービス紹介とは位置付けが異なるため、導入を検討する際には提供状況を個別に確認する必要があります。

省エネルギー・省給水気化式加湿システム

新菱冷熱工業では、滴下浸透気化式加湿器を対象に、露点温度の制御性向上と過剰な給水の抑制を目的とした「省エネルギー・省給水気化式加湿システム」の研究・検証を行っています。

従来のON-OFF制御では難しかった給水量の細かな調整に対し、必要な加湿量に合わせて給水を制御し、省エネルギーと省給水を両立することを目指した技術です。2024年・2025年のイノベーションハブ研究報告でも開発・検証内容が公開されています。

高精度な湿度管理を目指す「恒湿度空調システム」

新菱冷熱工業は、「恒湿度空調システム」に関する特許も保有しています。取入外気の変動を制御する温水コイル・気化式加湿器と、室内湿度を制御する温水コイル・気化式加湿器を直列に配置する仕組みです。

公式の特許概要では、室内湿度を±2%以内で高精度に制御することを目的としたシステムとされています。複数の加湿モジュールを加湿負荷に応じて台数制御し、一部を乾燥させることで臭気発生を防止する仕組みも採用されています。

参照元:新菱冷熱工業公式サイト
https://www.shinryo.com/tech/patent/list.html

新菱冷熱工業はどのような施設に向いている?

新菱冷熱工業の加湿関連技術は、家庭用や小規模オフィス向けの単体加湿器というより、建物・工場の空調設備に組み込み、温湿度や空気質を管理する用途を中心に検討する技術といえます。

公式サイトで公開されている用途や導入事例から見ると、次のような施設が主な検討対象になります。

  • 半導体工場
  • 液晶工場
  • 半導体開発施設
  • 研究施設
  • クリーンルーム
  • 美術館・博物館など

特に、半導体・液晶工場では、温湿度管理だけでなく、アンモニアや酸性ガスなどのケミカル汚染物質への対応が必要になることがあります。そのため、「加湿+ケミカル汚染対策」を同時に行いたい場合には、省エネルギー型エアワッシャーやAIR-ROCA®Eが選択肢になります。

また、既存設備で蒸気加湿によるエネルギー消費が課題になっている場合は、冷凍機排熱や生産冷却水などの低温水を利用するエアワッシャーによって、省エネルギー化を検討できます。

参照元:新菱冷熱工業公式サイト
https://www.shinryo.com/tech/room_airwasher.html
新菱冷熱工業のエアワッシャーは、
加湿とケミカル汚染対策を両立したい工場向けのシステム

半導体工場や液晶工場などでは、適切な湿度を維持するだけでなく、製造環境に影響するケミカル汚染物質への対策も求められます。

新菱冷熱工業の省エネルギー型エアワッシャーは、空気中の汚染物質を水で除去しながら加湿できるのが特徴です。独自のプリーツ型加湿材によって低圧損と高い飽和効率を両立し、工場の空気環境管理と省エネルギー化を支援します。

製造現場の条件に適した
加湿器が見つかる
【工場用加湿器3選】

工場用加湿器は気化式、蒸気式、噴霧式など方式によって特徴が異なり、製造環境や求める湿度、衛生管理、省エネルギー性などを踏まえて選ぶ必要があります。

当メディアでは、製造現場特有の課題解決に対応する工場用加湿装置を徹底調査。製品不良や製造ラインへの影響を防ぎ、工場が求める加湿性能を満たす加湿器を業種別に厳選して紹介しています。自社工場の用途や課題に合った加湿器を比較する際にお役立てください。

【業種別】工場用加湿器3選
を見る

新菱冷熱工業の会社概要

新菱冷熱工業株式会社は、1956年に設立された環境エンジニアリング企業です。空気調和設備を中心に、給排水衛生設備、地域冷暖房設備、コージェネレーションシステム、電気設備、プラント設備など幅広い事業を展開しています。

加湿器単体のメーカーというより、建物や製造施設全体の空気環境を設計・構築する企業として、エアワッシャーやクリーンルーム関連技術などを開発している点が特徴です。

会社名 新菱冷熱工業株式会社
英字表記 SHINRYO CORPORATION
本社所在地 東京都新宿区四谷一丁目6番1号 コモレ四谷・四谷タワー5階
設立 1956年2月23日
資本金 35億円
主な事業 空気調和設備、給排水衛生設備、地域冷暖房設備、コージェネレーションシステム、電気設備、総合情報システム、プラント設備など
公式サイト https://www.shinryo.com/
参照元:新菱冷熱工業公式サイト
https://www.shinryo.com/corp/outline.html
【業種別】
工場用加湿器3選

印刷・電子部品
プラスチック工場
なら

製品へのホコリ吸着を防ぎ
結露させずに加湿する
クリーンウェッター
(ヱイワ機工)
クリーンウェッター®︎α
引用元:ヱイワ機工公式HP(https://eiwakiko.com/product/cleanwetter_a)
大きさ(mm) 高さ1,995×幅700×
奥行450~
高さ3,010×幅2,000×
奥行1,000
運転重量(kg) 95~495
加湿量(ℓ/h) 3.4~43.7
加湿可能な
目安面積(㎡)
100~460

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  • X
    気化式

    水に濡らしたエレメントや媒体に風を通し、水分を含んだ湿った空気を供給する方式です。ヒーター不要で消費電力が少なく、結露しにくいため、水滴を嫌う工場に適しています。

    気化式
水滴や結露を発生させない

水分を含んだ空気を大風量で循環させ、広い工場内を行き渡るように均一に加湿。包装フィルムの印刷不良やプラスチック成形品の水跡・曇り、電子部品のショートを防ぐ。

塵・ホコリの付着を防ぎ
外観不良を低減

空間をムラなく加湿することで静電気の帯電を抑制するだけでなく、工場内に浮遊する塵・パウダーを回収。包装フィルムへの白抜け(ピンホール)を防ぎ、プラスチック成形品の外観不良を低減する。

食品工場
製薬工場

なら

湿度を緻密に制御しながら
殺菌された蒸気で加湿する
電熱式蒸気加湿器 SU
(ピーエス工業)
電熱式蒸気加湿器 SU
引用元:ピーエス工業公式HP(https://ps-group.co.jp/product/lineup-h/steam/su)
大きさ(mm) 高さ550×幅380×
奥行285~
高さ650×幅680×
奥行370
運転重量(kg) 16~41
加湿量(ℓ/h) 1.5~23
加湿可能な
目安面積(㎡)
明記なし

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  • X
    蒸気式

    ヒーターで水を100℃に加熱し、衛生的な蒸気を発生させ加湿する方式で、加湿量が大きいことが特徴です。粉塵(白い粉)が発生しないため、製薬・食品工場など厳格な品質管理が求められる工場でよく採用されます。

    蒸気式
殺菌された蒸気で衛生的

ステンレス内の電熱ヒーターで水を加熱・殺菌し、純度の高い蒸気だけを供給して衛生的に加湿。純水を使用するため、ミネラル分が残らず白い粉の浮遊・付着を防げる。

高精度な湿度制御で
品質変動を抑える

湿度センサーの検知値に応じて蒸気量を細かく制御し、設定湿度を一定に維持。粉末原料の固結や生地の乾燥を防ぎ、食品・医薬品の品質を保つ。

製材工場
木材倉庫

なら

高天井の大空間で
木材への滴りを防ぎながら加湿する
ML Princess
(Condair)
ML Princess
引用元:Condair公式サイト(https://www.condair.jp/spray-humidifiers/ml-princess-high-pressure-direct-air-humidifier)
大きさ(mm) 直径540×高さ310
~直径660×高さ330
運転重量(kg) 8.8~9.2
加湿量(ℓ/h) 12~54
加湿可能な
目安面積(㎡)
明記なし

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  • X
    スプレー式

    高圧ポンプや遠心力を用いて水を細かい霧(ミスト)にして噴霧する方式です。加湿能力が高いので、大規模工場や冷却効果が必要な現場に適しますが、水道水に含まれるミネラルや雑菌が水滴と共にそのまま空気中に放出されるため、水質管理が極めて重要になります。

    スプレー式
高天井の大空間を均一に加湿

高圧水による微細なミストを、天井から水平方向に噴霧・気化させることで、高さのある大空間を均一に加湿。木材を加工・保管するエリア全体を一定の湿度で管理できる。

滴り防止構造で
木材の品質を守る

滴りを防ぐノズルと配水ライン構造により、木材への水滴落下や局所的な過湿を防止。水滴による反りやカビなどの品質不良リスクを抑えられる。

※製品の大きさ、運転重量、加湿量、加湿可能な目安面積は、型式により違いがあります。