可燃性ガスや粉じんなどを扱う化学工場では、わずかな静電気が火災や爆発の引き金になるおそれがあります。
本記事では、実際に起きた国内外の事故事例を交えて、湿度管理・アース・イオナイザーなど静電気対策の基本をまとめました。
化学工場では、火災・爆発のリスクを防ぐため静電気対策が欠かせません。
可燃性ガスや液体、粉じんなどが常に扱われている化学工場では、こうした物質の周囲で静電気が発生すると火花が生じ、火災や爆発を起こす危険性があります。
静電気は粉体の投入や排出時、作業着の摩擦など日常的な動作でも発生するものです。
化学工場においては常に火種が周囲にある状況だからこそ、徹底した静電気対策が求められます。
2017年、静岡県富士市の化学工場で爆発・火災が発生し、2名が死亡、13名が重軽傷を負う事故が発生。当初、工場長ら7名が業務上過失致死傷の疑いで書類送検されました※1。
のちに、作業者の帯電防止靴と床の導通は安全基準範囲内であったことから人体帯電の関与は小さいと判断され、工場長らは不起訴処分に※2。
特殊な条件下においてコンテナ内で起きた放電が粉じんに着火し、爆発に至ったと分析された事故です。
2017年、アメリカ・ニューヨーク州の化粧品工場で、可燃性溶剤(HMDZ)の蒸気に静電気が引火し爆発が発生。1人が死亡、125人以上が負傷する深刻な事故となりました。爆発は二度起き、工場の建屋も大きく損壊しています。
発火のきっかけは、作業員がタンクを布でふき取る際に生じた摩擦帯電でした。過去にも接地不良や可燃性液体の管理不備が指摘されていた現場で、安全対策の不足が事故を深刻化させたとされています。
この事故を受け、可燃性溶剤の取り扱い時には「接地の徹底」「静電気が発生しにくい手順・器具の使用」など、基本的な帯電管理の重要性が改めて示されています。
静電気は乾燥した環境で発生しやすいため、湿度の管理は非常に重要です。
静電気の発生を抑えやすい環境は、相対湿度65%以上。静電気が空気中の水分を通して逃げやすくなるとされています。
その環境を実現するには、工場用加湿器を用いて湿度を適切に維持しなければなりません。ただし、過剰な加湿は設備の錆や結露を引き起こす可能性があるため、湿度センサーを設置してバランスを保つことも重要です。
プラスチックや樹脂などの絶縁体は電気を通さないため、アース(接地)では静電気を逃がせません。そこで有効なのが、イオナイザー(除電器)によるイオン中和です。
イオナイザーはプラス・マイナス両極のイオンを発生させて、帯電した物体表面の電位を中性化させます。
広範囲に対応できるバータイプやブロアタイプ、特定箇所を狙うスポットタイプなど、用途に応じて選ぶ必要があります。
イオナイザーについては、以下のページで情報をまとめました。
金属製の配管やタンクといった導体(電気を通しやすい物質)には、静電気対策の基本としてアース(接地)を徹底します。
アースとは、導線を介して設備や機器を地面に触れさせることです。摩擦で発生した静電気が地面へ逃げる経路を作り、蓄積を防ぎます。
アースの効果を保つためには、接続部の点検や清掃など、定期的なメンテナンスも欠かせません。
特に燃えやすい物質を扱う化学工場では、静電気による引火を防ぐためにアースは必須です。
液体が流れるだけでも、静電気は発生します。流動帯電と呼ばれる現象です。
特にガソリンやアルコールなど燃えやすい液体の場合、流れるスピードが速いと摩擦によって静電気が発生しやすく、火花放電による引火のリスクがあります。
液体の充填や移送時には、ポンプの圧力やバルブ開度を調整し、一定以下の流速に抑えることが重要です。
人間の身体も静電気の発生源の一つです。歩行や衣服の摩擦によって帯電しやすく、引火のリスクがある場所で放電するおそれがあります。
対策としては、作業者自身がアース(接地)されていることが重要。リストストラップや静電靴を着用し、作業台や床の導電性マットと接地することで、静電気を体外へ逃がします。また、定期的にアース線や装備の導通を確認し、正しく機能しているかを点検することも重要です。
静電気対策を施すことで、人間も設備も「常に放電ができる状態」にする必要があります。
化学工場にとって、静電気は火災や爆発につながり得る重大なリスクです。日常的に発生する静電気を十分認識した上で、湿度管理・アース・イオナイザー・流速管理・人体帯電対策など、複数の対策を組み合わせて実施することで、安全性を高めることができます。
現場の設備や取り扱う物質に応じて適切な対策を選び、静電気が発火源にならない環境を維持することが重要です。
印刷・電子部品
プラスチック工場
なら
| 大きさ(mm) | 高さ1,995×幅700× 奥行450~ 高さ3,010×幅2,000× 奥行1,000 |
|---|---|
| 運転重量(kg) | 95~495 |
| 加湿量(ℓ/h) | 3.4~43.7 |
| 加湿可能な 目安面積(㎡) |
100~460 |
▼マウスオンすると、加湿方式の解説が出てきます
水分を含んだ空気を大風量で循環させ、広い工場内を行き渡るように均一に加湿。包装フィルムの印刷不良やプラスチック成形品の水跡・曇り、電子部品のショートを防ぐ。
空間をムラなく加湿することで静電気の帯電を抑制するだけでなく、工場内に浮遊する塵・パウダーを回収。包装フィルムへの白抜け(ピンホール)を防ぎ、プラスチック成形品の外観不良を低減する。
食品工場
製薬工場
なら
| 大きさ(mm) | 高さ550×幅380× 奥行285~ 高さ650×幅680× 奥行370 |
|---|---|
| 運転重量(kg) | 16~41 |
| 加湿量(ℓ/h) | 1.5~23 |
| 加湿可能な 目安面積(㎡) |
明記なし |
▼マウスオンすると、加湿方式の解説が出てきます
ステンレス内の電熱ヒーターで水を加熱・殺菌し、純度の高い蒸気だけを供給して衛生的に加湿。純水を使用するため、ミネラル分が残らず白い粉の浮遊・付着を防げる。
湿度センサーの検知値に応じて蒸気量を細かく制御し、設定湿度を一定に維持。粉末原料の固結や生地の乾燥を防ぎ、食品・医薬品の品質を保つ。
製材工場
木材倉庫
なら
| 大きさ(mm) | 直径540×高さ310 ~直径660×高さ330 |
|---|---|
| 運転重量(kg) | 8.8~9.2 |
| 加湿量(ℓ/h) | 12~54 |
| 加湿可能な 目安面積(㎡) |
明記なし |
▼マウスオンすると、加湿方式の解説が出てきます
高圧水による微細なミストを、天井から水平方向に噴霧・気化させることで、高さのある大空間を均一に加湿。木材を加工・保管するエリア全体を一定の湿度で管理できる。
滴りを防ぐノズルと配水ライン構造により、木材への水滴落下や局所的な過湿を防止。水滴による反りやカビなどの品質不良リスクを抑えられる。