工場の湿度管理のために加湿器の導入を検討している場合、設備費の負担を補助金で軽減できないかを調べている方は少なくありません。この記事では、工場用加湿器と名指しで対象にした補助金制度の有無、実際に補助金の対象設備として採択された製品の実例、そして活用を検討できる周辺の制度について、公式情報にもとづいて解説します。
結論から述べると、国の主要な補助金制度を調査した範囲では、「工場用加湿器」というカテゴリ全体を対象にした専用の補助金制度は確認できませんでした。
一方で、省エネ性能などの登録要件を満たし、指定設備として登録された特定の製品が、経済産業省の補助金の対象設備となった実例は実際に存在します。対象になるかどうかは、加湿器という製品カテゴリ単位ではなく、個別の製品・型番が該当年度の対象設備として登録されているかどうかで決まる、という点がこのテーマの前提になります。
工場用加湿器を対象とした補助金がないからといって、加湿器全般が対象外というわけではありません。
実際に、令和6年度(2024年度)には、株式会社いけうち(フォグエンジニア霧のいけうち)の省エネドライフォグ加湿システム4製品(AirAKI、AirULM、AU-KIT、AirHYBRID)が、経済産業省の「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(Ⅱ電化・脱炭素燃転型、補助率1/2以内)」および「省エネルギー投資促進支援事業費補助金(Ⅲ設備単位型、補助率1/3以内)」の対象設備として採択されたことが、同社のプレスリリースで公表されています。
採択時には、同社が蒸気式加湿からの切替によりCO2排出量を約80%削減できるとするシミュレーション結果を公表しています。
霧のいけうちの事例が示しているのは、「加湿器」という大分類がなくても、登録要件を満たした特定の製品であれば、既存の補助金区分の中で対象設備として登録され得るということです。SIIの指定設備では、メーカーが設備区分ごとの登録要件を満たす製品を申請し、審査を経て指定設備として登録されます。
そのため、加湿器を導入する側が確認すべきなのは「加湿器というカテゴリが対象かどうか」ではなく、「検討している製品の型番が対象設備として登録されているかどうか」です。
加湿器そのものを対象と明記した制度は限られていますが、生産性向上や省エネ、職場環境改善を目的とした設備投資として、以下の制度が活用できる可能性があります。
いずれも加湿器が必ず対象になるという意味ではなく、事業計画や対象設備リストの内容次第で対象になり得る制度として紹介します。
中小企業庁が実施する制度で、人手不足の解消に効果的な汎用製品を、あらかじめ用意された「製品カタログ」から選んで導入する仕組みです。対象になるのはカタログに登録された製品に限られるため、加湿器が対象になるかどうかは、カタログに掲載されているかどうかで判断されます。
補助率は1/2以下で、補助上限額は2026年3月19日の制度改定後で従業員5名以下が200万円(賃上げ達成時300万円)、6〜20名が500万円(同750万円)、21名以上が1,000万円(同1,500万円)です。対象製品や最新の要件は、中小企業省力化投資補助金の公式サイトでご確認ください。
生産性向上に資する設備投資を支援する制度です。
令和6年度補正予算時点で確認できた内容では、補助率は中小企業が1/2、小規模事業者が2/3で、上限額は枠によって750万円から3,000万円まで設定されていました。最新の公募内容・要件は制度が改編される可能性があるため、公式サイトでの確認が必要です。加湿器がこの制度で対象になるかは、あくまで事業計画全体の中でどのように位置づけられるか次第です。
霧のいけうちの実例が採択された制度です。令和7年度補正予算では、以下の4つの事業区分に整理されています。
令和6年度には、霧のいけうちの省エネドライフォグ加湿システムがⅡ型(電化・脱炭素燃転)の対象設備として採択された実績があります。
一方、令和8年度制度で加湿器・加湿システムが対象設備として登録されているかどうかは、公募要領や対象設備一覧、またはメーカーへの確認が必要です。
事業場内最低賃金を引き上げる中小企業・小規模事業者を対象に、生産性向上に資する設備投資を支援する制度です。
助成率は引き上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満の場合は4/5、1,050円以上の場合は3/4です。上限額は引き上げ額のコース(50円・70円・90円)と対象労働者数によって異なり、事業主単位での年間上限は600万円です。対象経費は「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等」とされていますが、加湿器が個別に対象と明記されているわけではなく、業種や事業計画ごとの判断になります。申請前に管轄の労働局に相談することが前提になる制度です。
SIIの設備単位型では型番単位で登録されます。一方、他制度では事業計画全体で審査される制度もあります。導入を検討している製品がある場合は、その製品がSIIの指定設備として登録されているか、あるいは他の制度の対象製品リストに掲載されているかを、公式サイトまたはメーカーに直接確認してください。
多くの補助金制度には公募期間と予算の上限があり、制度によっては期間内であっても予算に達した時点で受付が終了する場合があります。
補助金が使えるかどうかは、加湿器を選ぶうえでの数ある判断材料のひとつです。
自社工場で加湿器を導入する本来の目的(品質管理、静電気対策、労働環境の改善など)を優先したうえで補助金が活用できるかを確認する順序が望ましいと考えられます。
補助金の対象製品が見つからない場合や、公募期間外である場合は、以下のような方法も選択肢になります。
初期費用を抑えて導入する方法として、メーカーや販売代理店、リース会社がリース・レンタルサービスを提供している場合があります。
中小企業経営強化税制など、設備投資にともなう税制優遇制度が別途用意されている場合があります。自社が対象になるかは、税理士や認定経営革新等支援機関などへ確認するとよいでしょう。
補助金の有無にかかわらず、複数のメーカーから見積もりを取り、価格や仕様を比較したうえで導入を検討することが、コストを抑えるうえでの基本的な方法になります。
補助金の活用可否を確認したあとは、自社工場の用途に合った加湿方式・機種を選ぶことが重要です。加湿器には蒸気式・気化式・水噴射式(噴霧式)など複数の方式があり、それぞれ特徴が異なります。詳しくは以下のページをご確認ください。
工場用加湿器というカテゴリ全体を対象にした補助金は、調査した範囲では確認できませんでした。
ただし、省エネ性能を個別に認定された特定の製品が、経済産業省の補助金の対象設備として過去に採択された実例があることも事実です。補助金の活用を検討する場合は、加湿器というカテゴリではなく、検討している製品の型番が対象設備として登録されているかどうかを、公式サイトまたはメーカーに個別に確認することをおすすめします。
印刷・電子部品
プラスチック工場
なら
| 大きさ(mm) | 高さ1,995×幅700× 奥行450~ 高さ3,010×幅2,000× 奥行1,000 |
|---|---|
| 運転重量(kg) | 95~495 |
| 加湿量(ℓ/h) | 3.4~43.7 |
| 加湿可能な 目安面積(㎡) |
100~460 |
▼マウスオンすると、加湿方式の解説が出てきます
水分を含んだ空気を大風量で循環させ、広い工場内を行き渡るように均一に加湿。包装フィルムの印刷不良やプラスチック成形品の水跡・曇り、電子部品のショートを防ぐ。
空間をムラなく加湿することで静電気の帯電を抑制するだけでなく、工場内に浮遊する塵・パウダーを回収。包装フィルムへの白抜け(ピンホール)を防ぎ、プラスチック成形品の外観不良を低減する。
食品工場
製薬工場
なら
| 大きさ(mm) | 高さ550×幅380× 奥行285~ 高さ650×幅680× 奥行370 |
|---|---|
| 運転重量(kg) | 16~41 |
| 加湿量(ℓ/h) | 1.5~23 |
| 加湿可能な 目安面積(㎡) |
明記なし |
▼マウスオンすると、加湿方式の解説が出てきます
ステンレス内の電熱ヒーターで水を加熱・殺菌し、純度の高い蒸気だけを供給して衛生的に加湿。純水を使用するため、ミネラル分が残らず白い粉の浮遊・付着を防げる。
湿度センサーの検知値に応じて蒸気量を細かく制御し、設定湿度を一定に維持。粉末原料の固結や生地の乾燥を防ぎ、食品・医薬品の品質を保つ。
製材工場
木材倉庫
なら
| 大きさ(mm) | 直径540×高さ310 ~直径660×高さ330 |
|---|---|
| 運転重量(kg) | 8.8~9.2 |
| 加湿量(ℓ/h) | 12~54 |
| 加湿可能な 目安面積(㎡) |
明記なし |
▼マウスオンすると、加湿方式の解説が出てきます
高圧水による微細なミストを、天井から水平方向に噴霧・気化させることで、高さのある大空間を均一に加湿。木材を加工・保管するエリア全体を一定の湿度で管理できる。
滴りを防ぐノズルと配水ライン構造により、木材への水滴落下や局所的な過湿を防止。水滴による反りやカビなどの品質不良リスクを抑えられる。